Eero Koivistoinen(1946生)は、国際的に知られたフィンランド人ジャズミュージシャンで、1960年代にはすでに有名だった。Loveレコーズでは、2年連続で2枚のアルバムを残している。その1枚目『The Front is breaking』(LRLP188)は1976年に出たエレクトロニック・ファンク・ジャズの作品。そして翌年にリリースされたクインテット・アルバム『Labyrinth』では、アコースティックジャズの原点に回帰している。強力でファンキーな楽曲 “Meat & Potatoes” はアナログ盤には長すぎたためにオリジナルのアルバム収録曲とはならなかったが、『Labyrinth』の再発の際のボーナストラックとしてリリースされたもの。
Mike Koskinenの唯一のLoveレコーズ・アルバムからもう一曲。タイムレスな魅力を持つ “Sunwebs” は、Miles Davis, Joe Henderson, Wayne Shorterらとレコーディングで交流もあった、ニューヨークのSweet BasilにおけるSonny Fortuneの熱いコンサートと、Edward VesalaやEero Koivistoinenのようなフィンランドの同時代のアーティストたちとの相互の影響からインスパイアされたと言われる。
9. LAHTISIN TAAS MATKALLE
“Lahtisin Taas matkalle” ( “I would go away again” = 私は再び旅立つだろう)は、フィンランドの詩人Pentti Saarikoski(1937-1983)の詩に曲をつけたジャズソングで、ここでは作曲を手がけた本人Otto Donnerが歌っている。スウィングするサックスのソロは、このアルバムで初めてOtto Donnerとのコラボを経験したJuhani Aaltonen(1935生)だ。“En soisi sen paattyvan” は、1969年のポリ・ジャズ・フェスティバルで初演された。
10. STELLA BY STARLIGHT
キューバン・ラテン・ジャズの王者Paquito D'Rivera(1948生)は1976年にフィンランドを訪問した際、伝説的ジャズ・ベーシストのNiels-Henning Orsted-Pedersenが在籍するキューバン・ノルディック・バンド the great Dane with the never-ending name との共演によるジャズ・アルバムを録音している。D'RiveraはChucho Valdesが結成した有名なグループIrakereの一員でもあり、このグループもLoveレコーズから1976年、77年にアルバム『Grupo Irakere』(CULP2)、『Chekere』(CULP7)をそれぞれリリースしている。
11. PUUTARHASSA
Pekka Streng(1948-1975)の “Puutarhassa”( “In the Garden” = 庭にて)は、こらえきれない夏のエッセンスをみごとにとらえた作品だ。あえてジャンルわけするならヒッピーフォークということになるのだろうが、この催眠術にかかるようなグルーヴ(そしてOlli Ahvenlahtiの魔法のような電子ピアノ)が、この楽曲をジャズ・コンピに含める価値のあるものにしている。残念ながら非常に短かった彼の音楽家人生だが、その間にLoveレコーズで2枚のアルバムを録音している。その1枚目『Magneettimiehen kuolema』は1970年のリリースで、そこではフィンランドの伝説的プログレバンド Tasavallan Presidentti との共演を果たしている。2枚目のアルバムにもEero Koivistoinen、Olli Ahvenlahtiといったフィンランドを代表するジャズミュージシャンが参加している。